【NEWS】松江市・町田市が性同一性障害に配慮、表に戸籍上性別記載しない保険証、練馬区も対応検討

松江市・町田市が性同一性障害に配慮、表に戸籍上性別記載しない保険証、練馬区も対応検討


▼概要

東京都町田市が2012年10月19日に、心と体の性が一致しない「性同一性障害(GID)」と診断された市民に配慮・要望に応じ、国民健康保険証の表面にある性別欄に性別を記載せず、裏面に特記事項として戸籍上の性別を記載した国民健康保険証を交付した。

▼経緯

▽島根県松江市
(1)性同一性障害のある島根県松江市の上田地優(ちひろ)さん(54)(戸籍上は男性、女性として生活)は、健康保険証の性別の記載に関して、2007年から戸籍と異なる「女性」と記載することを厚生労働省や市に求めていた。上田さんは2006年1月にGIDの診断を受けた。2012年4月に保険証がカード化され、性別表記が目立つようになったため「医療機関で保険証を提示するのが苦痛」と松江市側に訴えていた。
(2)島根県松江市が2012年7月2日に厚労省の了承を得て性別欄に「裏面記載」、裏面の備考欄に「戸籍上の性別男(性同一性障がいのため)」と手書きした保険証を発行した。
上田さんの保険証を巡っては、松江市は島根県や厚労省と対応策を協議して2012年6月、裏面記載を提案。
厚労省も「問題はない」として市の方針を容認。松江市保険年金課は「(上田さんが)困っていたので国などに問い合わせた。緊急避難的に対応した」としている。

▽しかしながら、、、
松江市の暫定措置後、厚労省が性別欄に「女性」と記載することで調整を進めた(いったんは容認する姿勢を示していた)が、「医療機関が男性、女性それぞれに、性別特有の疾病を見逃す可能性がある」、「裏を確認せず、カルテに性別を記入する可能性がある−」等から「女性」の記載を見送り、2012年9月21日付で以下の通知を全国の自治体などに交付した。

(3)厚生労働省は、各都道府県や健康保険組合に、2012年9月21日付通知で、国民健康保険証には戸籍上の性別を記載しなければならない」としつつも「保険者がやむをえない理由があると判断した場合、「裏面参照」といった表記で配慮をしてもよい」、「裏面に性別を記載する工夫は差しつかえない」、「その場合、保険証の裏面には「性別は男」などと戸籍上の性を記載する」という趣旨の通知を出した。

▽参考資料
2012年9月21日付通知、厚生労働省が島根県松江市長や全国の自治体等に宛てた、被保険者証の性別表記についての回答

(4)保険証を受け取った後、市役所で記者会見した上田さんは「新たな記載方法が制度化されたことは大きな進歩」、「厚労省も県も市も本気で取り組んでくれた。いろんな人に感謝したい」、「松江市には感謝している。他の自治体も認識を変えなくてはいけないのではないか」と述べた。一方で「女」と表記できなかったことについて、「性別適合手術で、性別特有の疾病にかかる可能性も変わるのなら、データを示してほしい」と、決定に異論を投げかけた。「これは終わりではなく通過点」とも語り、医療の専門家を対象にGIDの啓発活動を続けていく意向を示した。と一定の評価をした。
(5)島根県松江市は2012年10月1日、表面の性別記載欄に「裏面参照」、裏面に戸籍上の性別を印刷した国民健康保険証を交付した。

▽東京都町田市
(6)島根県松江市の事例(厚労省の通知)を知った、東京都町田市の市民(戸籍上は男性、10年ほど前から女性として生活する30代のアルバイト従業員)が「雇用の際などに、男性と書かれた保険証を提示し説明するのは苦痛だ」と、2012年7月に本人が町田市に相談し、新たな保険証の発行を求めた。
(7)2012年10月19日、申し出書と医師の診断書を提出。東京都町田市の市民に、保険証は表面の性別欄に「裏面に記載」と表記し、裏面の備考欄に「戸籍上の性別 男(性同一性障がいのため)」と記載された保険証が即日交付された。

▼町田市保険年金課のコメント

「医師の診断があり、記載と実態に合った性別が違うことに苦痛を感じているのであれば、今後も同様の対応をしていきたい」と話している。
性同一性障害と診断された人が保険証の性別を変えるには、性別適合手術を受けて戸籍そのものを変える必要があり、今回の措置は部分的な改善とも言えるが、町田市では「可能な範囲で本人の人権に配慮した」としている。

▼今後の他の自治体の展開

都内では練馬区などでも、住民から新たな保険証を求める相談があり、対応を検討している。

▼戸籍の性別変更について

性同一性障害(GID)の当事者は、性別適合手術や家裁の審判を経て戸籍を変更すれば、保険証の性別も変えられる。
厚生労働省によると、戸籍の変更はせず、保険証の表記方法を変えたのは「把握している範囲では全国初」という。

▼市民団体の意見

市民団体「性と人権ネットワークESTO」の真木柾鷹(まさきまさたか)代表は「周囲の人に保険証を見られ、実生活の性別と異なると疑問に思われる。医療機関を受診するのも楽になるので、こうした動きが広がっていくといい」と話している。

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